2009年09月06日

粋な計らい

父が逝って3年余
母が逝って8ヶ月
なので今年は母の新盆になる
私は5人姉妹の長女
父母の労苦と喜びを妹たちより
少し長く見てきた
そして何が幸せかも父母を通して
教えてもらった

私たち姉妹は大人になると
それぞれの人生を歩むため
父母の元を離れひとり一人家をでた

父母が元気だった頃
子はそれぞれの人生を生きるのに精一杯で
5人姉妹が一同に集うことは難しかった

わたしたち姉妹は
父母の看病に明け暮れて
疲労困憊になったという経験がない
父母の晩年は人生80の如し
少し認知が入りはしたものの
ゆるやな時間だったと思う
もちろん福祉サービスの恩恵も受けながらではあるが・・・

苦労人の二人だっただけに
晩年は溜め込んでいた
心の憂さを晴らすのでは?と
妹たちと話し合ったこともあったが
人を罵声し批判することもなく
穏やかに緩やかになった父母だった

父の晩年は
娘たちに働き者でせわしく動いていた父親ではなく
娘の話に「そうかぁ~」とうなずき
お喋りな父から聞き上手に変わっていった
歩くことが思うに任せなくなったものの
自転車にのってスープの冷めない距離で暮らす
娘たちの家を訪ねるのが日々の日課になっていた
散髪をし、風呂に入れる度に
「あぁ~いい気持ち!ありがとう」と
やさしく感謝を伝える父
元気な時の父の辛口は出てこない

厳しい時代を生き抜いた父の姿は
愚直で正直がゆえに
周りから多くの誤解を受けながらも
譲ることのない一本の芯をもっていた

母の晩年は
食事の度に「美味しいねぇ~こんな美味しいの
初めてたべるさぁ~」と何度も言っては感動し
娘たちには「いつでも5人仲良くやってよ」が口癖
そしていよいよ最後の時を迎えた時も
「ありがとう!ありがとう!感謝です」を
わたしたちは何百回母から聞いたことだろう

父は母の誕生日に
母は父の誕生に一日遅れて逝った
お陰でわたしたち姉妹は
父母の命日を忘れることもなく
盆と正月には集うことになりそうだ

何という神様の粋な計らいだろう
粋な計らい


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Posted by やぶれがさ at 22:41│Comments(0)缶集めの日常
 
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